観葉植物を楽しんでいく中で、誰しもが一度は憧れる植物があります。
コウモリランです。
ビカクシダとも呼ばれてますね。
よく、写真のように板付けにされていて、インテリアとしても映えること間違いなしの観葉植物です。
このコウモリラン(ビカクシダ)という植物は、種類もいくつかあり、数千円から数万円という高価なものまで様々な種類、大きさのものが販売されてます。
とにかくカッコ良すぎて私も欲しくてたまらなくなった憧れの植物です。
よく、こうやって鉢植えに植えられて販売されているのは見かけた方も少なくないのではないでしょうか?
でも、これだとTHEビカクシダって感じがしなくて微妙ですよね。
コウモリランは着生シダ植物で、樹木に根を生やして自生してます。
それ故に自然界にある姿で育てたいという想いから樹木に見立てて板付けにするのが人気です。
しかし…
賃貸に住む者にとって、それは壁に穴を開けるのに等しいことです。
そんなこと、植物のためとは言えできません。
また、板付けにしたビカクシダへの水やりってどのようにすればいいのか謎です。
壁から板を取り外して、板ごと水にドボンと漬けるのでしょうか?
壁につけたまま水差しで水を上げたら壁にも水がかかってしまい、最悪壁がカビてしまう可能性だってあります。
面倒だからと水やりを怠ってしまって、気がついたら高価なビカクシダが枯れてしまうなんてことになっては目も当てられません。
板付けは設置場所も管理も難しそう
私が感じた板付けに対するネガティブな気持ちでした。
そんな時、色々と調べていたら出てきたのが
苔玉です。
ビカクシダを苔玉にしたらハンキングで天井から吊るせる。
管理も楽そうだし、設置場所に悩まなくていい!
悩んでいた私にとってまさしく天啓でした。
市販のハンキングの不安
ビカクシダを苔玉にして販売しているお店は多くないのですが、ネット通販であれば比較的見つけることは容易です。
ちなみに様々な実店舗を見て回りましたが、ビカクシダを鉢植えや板付けで販売しているところは数あれど、水苔でハンキングにしているお店はありませんでした。
市販のハンキングは、ビカクシダの用土に水苔を使用してます。
大体、苔玉にしている多くがこのような形です。
市販のビカクシダの苔玉の共通点をまとめてみました。
- 品種はビフルカツムorネザーランド
- 水苔が丸見え
- テグスで巻いている
- 針金で吊り下げられる
品種は多く出回っているビフルカツムorネザーランドというものが大半です。
ネザーランドはビフルカツムの交配種なので、ビフルカツム=ネザーランドといっても過言ではないでしょう。
この2種類のみと言っていい程なので、他のビカクシダの品種が欲しい場合には市販では販売されておりません。
ビカクシダの苔玉も名前の通り、植物の根の部分を水苔で覆います。
しかし、水苔はそのまま丸てもポロポロと崩れ落ちてしまうので、テグスなどで巻いて補強するしか苔玉にする方法はありません。
多くはテグスや水苔のような質感の糸を使って巻くのですが、これはどんなに時間が経過しても植物に取り込まれることがなく、分解されないのです。
個人的にはそんな糸を使用しているのがどうにも気になるポイントでした。
また、自分自身で水苔で巻いてみてわかったのですが、時間が経過すると水苔が劣化してポロポロと崩れ落ちてしまうのです。
糸でしっかりと巻かれていないと隙間から水苔が落ちてくるし、隙間なく糸で巻かれていたら、それはそれで異物感があって嫌だなという我儘な私にはここも不安なポイントでした。
そして、それらの水苔や糸が丸見えなのがどうにも気になりました。
水苔は時間の経過と共に質感が変わります。
表面が苔に覆われるならばまだしも、朽ちて茶色になってしまっては見た目としても損なわれてしまうのです。
お洒落な色合いや雰囲気の針金を使用してくれているならば良いのですが、どうにも人工的な針金が使用されていると途端に現実に戻されてしまう気がして、そこも気になるポイントでした。できれば銅線のような素材でレトロ感を出したいとこだわりが強い私はその点も気になったわけです。
そして、市販のビカクシダの苔玉を購入する際に最も不安なのが…
大きくなって仕立て直したくなった時に直せるだろうか?
これに尽きます。
植物はどんどん大きくなります。
購入したビカクシダも大きくなってきたら苔玉の調整が必要になるかもしれません。
または何らかの理由で針金がダメになってしまった時に再度針金を通し直すことが必要になるかもしれません。
だからこそ…
自分で苔玉にできるスキルを身につけなければいけない
これに尽きるのです。
いつかは自分で管理しなければいけない時が来るのだから、いっそ自分で好きなビカクシダを苔玉にしてみよう。
これが私がビカクシダ苔玉計画のスタートでした。
苔玉をハンキングすると水苔が落ちる
まずは練習台として板付けされていたネザーランドを購入してきました。
かなりサイズも小さくて弱々しい子です。
これを板から外すと何故か水苔と一緒に土もポロポロと落ちてきました。
土を丁寧に洗い流して劣化した水苔も取り除きます。
ビカクシダを傷つけないように水苔を根っこの部分を中心に球状になるようにくっつけていきます。
この時に針金も一緒に入れ込むのですが、針金の長さは事前に決めておくのが無難です。
水苔を巻く時に長いと邪魔になります。
針金はU字に曲げて引っかかるようにするか、蚊取り線香のような円状の芯を作り、それとビカクシダを合わせて水苔で丸めてしまう方法、どちらでも簡単に固定できます。
ビカクシダと針金を水苔で覆い球状にするのは簡単でしたし、それをテグスで巻くのもとても簡単でした。
しかし…
テグスの隙間からすぐにポロポロと水苔がこぼれ落ちてしまうのです。
あまりテグスは使いたくないけど、使わなければ隙間から簡単に水苔が落ちてしまう…
いきなり問題が発生してしまいました。
ビカクシダを麻玉仕立てにする
さて、前置きが長くなりましたが、ビカクシダを苔玉にすると
- 水苔がポロポロ落ちる
- テグスで人工物感が出る
- テグスは分解されずに残る
この3点が課題点として浮き彫りになりました。
これを解決するために、他の植物の仕立て方を色々と調べてみた結果、植物を麻玉で仕立てている方がいて、それであれば麻糸は分解されるし味わいがあって良いのではと思い立ちます。
ビカクシダはその特徴として、
貯水葉と胞子葉という二つの葉を展開します。
このうち、貯水葉が大きく広がり苔玉を覆い尽くすように展開するのですが、テグスで巻くとこの貯水葉にテグスが取り込まれてしまうわけです。しかしながら、テグスは分解されないので、そこが私にとって嫌なポイントでした。
麻紐ならば、貯水葉に包まれてもいつかは分解されてなくなるため、ビカクシダにも優しいのではないかと考えるととてもベストでした。
麻紐でガッツリと隙間なく水苔を巻いてしまえば水苔がポロポロと落ちる心配もありません。
何事もチャレンジだと思い、テグスを全て取り除き、水苔で球状にした状態の上からグルグルに麻紐で巻いていきます。
麻糸は様々な色合いのものが販売されてます。
グラデーションカラーの麻糸を使うと、このように色とりどりの麻玉ができました。
ハンキングした時の写真がこちらです。
無事に水苔も落ちることなく、固定されてます。
こちらは、水苔のカップで販売されていたビカクシダのグランデという品種です。
※グランデではなくてスパーバムという品種の可能性もありますが…
こちらも針金を用意して、水苔をさらに追加して麻紐で巻いていきます。
こちらは茜色の麻紐で仕立ててみました。
その後の成長
さて、ビカクシダの麻玉仕立てを作ってから、現在の様子をお伝えしたいと思います。
麻紐で仕立てた際の不安点なのですが、
- 麻紐が分解されて崩れていないか?
- 麻紐の色合いが朽ちてないか?
- 通気性が悪くならないか?
特に麻紐は吸水性に優れているのですが、ガッツリと巻いて包まれているため、通気性が悪くなって内部が腐ったりしないかが心配でした。
ビカクシダを麻玉仕立てにしてから約半年後の様子をお伝えします。
グランデは貯水葉が早速成長を始めて…
スクスクと成長し…
とんがってきたと思ったら…
半年後の現在ではここまで立派に成長しました。
成長速度も早くて驚きです。
我が家の観葉植物の中ではかなり成長が早い方だと思います。
続いて、最初に麻玉仕立てにしたネザーランドはどうでしょうか?
胞子葉が出てきて…
かなり大きくなってきてます。
存在感が増してきたと思ったら…
貯水葉も麻玉を飲み込み始めてます。
よく見てみると、これは子株でしょうか?
そこから胞子葉が新たに展開されてきたようです。
私はビカクシダを2つ所有してますが、どちらもしっかり元気に成長してくれています。
麻玉仕立てのメリット
写真のように、私のビカクシダはとても元気です。
実はこの子達、全く手がかかってません。
ほぼ放置気味に育てております。
水やりタイミングがすぐわかる
麻玉仕立てのメリットとして水やりタイミングがわかりやすいことが挙げられます。
ハンキングしておいて、たまに麻玉部分を触るだけです。
触ってみて、パキパキに乾いていたら水をあげます。
乾いたら水をあげるだけです。
鉢植えだと土を触って表面が乾いていても中はまだ湿っていたり、板付けだと湿り気を確認することが難しかったりするため管理が難しいのですが、この麻玉仕立てでは麻玉部分がカラカラに乾いているかどうかが判断基準となるため明確です。
水をあげる方法が簡単
水やりをする際には、ハンキングから一度外して、ボウルなどの器に水を張ります。
そこにドボンと麻玉部分を漬け込むだけです。勝手に水を吸い上げてくれて、5分程で水を吸い終わるので、吸い終わったらまたハンキングして終了となります。
水にドボンと漬け込むだけで完了します。
水にハイポネックスなどの液体肥料を添加しても良いですね!
肥料を与えたらすごい勢いで成長してくれます。
日陰でも育つ
麻玉仕立てにして、ハンキングにて吊るすと日陰だろうが関係なくスクスクと成長してくれます。
それは、部屋の照明にとても近い位置に設置できるからです。
写真の通り、私のビカクシダも例外なく照明のすぐ近くにあります。
我が家は北窓で日光が入ってきてくれないのですが、それでも十二分に照明からの光を取り込んで成長してくれているので、日光が不要かもしれません。
濡れて乾いてを理想的に繰り返す
植物の成長には水が必要ですが、植物は用土が乾いた時に水分を求めて根を伸ばして成長します。麻玉仕立てにするとしっかりと水分を麻玉に吸い込んで、それはしっかりとカラカラになるまで乾燥してくれます。このサイクルを把握しやすいので、ビカクシダにとっては理想的な生育環境になるのです。
濡れっぱなしも乾きっぱなしも成長には良くありません。
濡れて乾いてを簡単に管理できるため、
理想的な環境を構築しやすいです。
場所を取らない、選ばない
これは苔玉でも同様のことが言えますが、ビカクシダをハンキングすることで場所を選ばずに設置できます。
ぶら下げる場所があれば設置できるのです。
ハンキングにおいて懸念点は重量です。
しかし、苔玉や麻玉仕立てにすると鉢が不要となるので、鉢がない分とても軽量です。
軽量故に、耐荷重を気にせずに設置できます。
どこか吊るせそうな場所があればいいのです。
まとめ
ビカクシダを育ててみたい方はぜひ麻玉仕立てを試してみてください。
板付けや苔玉よりも個性的で取り扱いも簡単ですし、作成もとても安価で簡単です。
ビカクシダは様々な種類がありますので、お好きな品種を選べるのもいいですね!
THEコウモリランといったような見た目がお好みならばビフルカツムかネザーランドを選ぶといいでしょう。耐寒性もあり、乾燥にも強いので枯らしにくいです。
王様の王冠のような凛々しい姿がお好きでしたらグランデがオススメです。
別名「森の王冠」とも呼ばれており、耐寒性もあるので育てやすいのも魅力の一つだと思います。
高価ではありますが、鹿の角のように勇ましい姿からマニアには人気のリドレイという品種もあります。
乾燥に弱く、栽培難易度が高めなので、初心者には難しいかもしれません。
これらのお好みのビカクシダを水苔と麻紐でハンキングしましょう。
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